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「どこ行ってたんだ?まさかサボってたんじゃないだろうな」
「まさか、そんなこと悠李君がする訳ないじゃーん☆ね?」
そんな風に僕を見られても…せっかく貰った特権を利用しない訳には行かないんだから仕方ないだろ…
「ま、まぁね」
「へぇ?じゃあどこに行ってたんだ?」
「ちょっと探検に行ってた、かな?」
嘘は言ってないからOKのはず。お母さんってなんだかんだいって優しかったりするし、きっと彷徨ママは許してくれる、と思う。
「ホントか?玲」
「ホントかどうかはわかんないけど。屋上にいたよ!」
「そうか、まぁいいか」
まぁいいんだ。やったね。彷徨が優しくて良かった。もし翼だったら許してくれなかっただろうな。実際翼の顔がちょっと怖い。お願いだからいつもの顔に戻って欲しい。見た目だけでいったら彷徨の方が怖そうなのに、見かけによらないよな、人って。
「そういえばさ!屋上にいた人と、悠李君、知り合いなの?」
「たまたま屋上で寝てるのを見かけただけだよ」
「そうなんだ。その割には仲良さそうだったけど…」
あの人が言うには幼馴染らしいけど、俺には記憶にないわけだし、知り合いでは無いよな?多分初対面のはずだし。
「あのさ玲君はあの人知ってる?」
玲君は「え、僕?えーっとねぇ」と言いながら翼と彷徨の方をチラチラとみてるけどもしかして、翼と彷徨もあの人となにか関係があるのかな。
玲君はなにか悩んでいるようにも見えたが、頭を整理することができたのか深呼吸した。
「あの人はね、一応この学校の生徒会メンバーなんだけど、今まで海外にいたって感じかな!」
「そうなんだ」
翼と彷徨、なんでそんな驚いた顔してるんだろ。
「その、悠李君、その人と何か話した?」
「特に話してないと思うけど……あ、でもおかしなこと言ってたな」
「おかしなこと?」
「うん。その人と俺が幼馴染なんだってさ。俺はその人とあった記憶すらないのにね」
「そう…だね」
3人は少し険しい顔をしているようにも見えたが、直ぐにいつも通りの顔に戻った。
「他には何も話してないんだな?」
「うん、確かそうだと思う。」
「そっかぁ☆わかった、ありがと」
なんだ、このちょっと重たい感じの雰囲気は。誰か、何とかしてくれ。
そんなふうに思っていたらこの空気から救ってくれる救世主が現れた。
「お話中悪いがよぉ。悠李さんや、約束忘れてないか?」
「あ、完全に忘れてた。」
俺を迎えに来たらしい風紀委員長は「おいおい」と笑いながらこっちを見てきた。
「約束ってなに?」
「あぁ悪い悪い、いたのかお前ら。」
「ずぅっといましたけど☆」
風紀委員長と翼達は仲が悪いのかな。すごく不満そうな顔してるけど。
「まぁまぁ、ちょっとお宅の悠李君に来てもらいたくてね」
「それは…無理ですねぇ☆」
「だろうな、なら、お前たちも来たらどうだ?」
「いいんじゃないか?」
「うん!」
「チッ……まぁ、分かったよ」
舌打ち聞こえたんですけど。そんなに嫌なら来なくてもいいのに。とは思いつつもさすがに怖くて本人にはこんなこと言えないけど…
「とりあえず行くぞ」
「はい」
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