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「……洋太、こっち見てみ?」
急に体ごとわずかに斜めに傾けた順平に促され、洋太がぼんやりと視線を向けると、浴室の壁に掛かった鏡には順平の指と唇に乱されて、卑猥に蕩け切った表情を浮かべる自分の姿が映っていた。
「あ……あ、いやぁ……こんなの、恥ずかし、よぉ……っ」
「何でだ? すげえ可愛いし。お前の体、最高にやらしくて……綺麗だ……」
そう言いながら、順平の男らしくごつい指先からは信じられないほどの繊細な責めを執拗に受け続けて、つんと張り切った突起はすでに強すぎる快感に痺れ始めていた。耐えきれずに目に涙をためて洋太が懇願する。
「んっ、順平ぇ……っ! そ、そこばっか……やだ……お願いだからっ、も、う……んあっ! ああっ‼」
怖いくらいに優しい口調の順平が、洋太の耳元で問いかける。
「エッチな坊さんだな、洋太……どうして欲しいんだ? 言ってみろ……」
「あ……い、いつもみたいに……下、も……ちゃんと、いじって……ほし……」
「下って、こういうふうにか?」
「ひっ……ひあぁんっ?!」
順平の片方の手がちゃぷん……とお湯に沈み、そのまま洋太の熱く疼いている中心をしごきあげると、たまらず悲鳴を上げて洋太が体を海老のようにのけぞらせた。突っ張った足の先が小刻みに震えている。
「あ……あぁ……っ」
「なんだ、もう限界か……?」
「だ、だって……順平が……っ」
洋太が先程の快感の余韻で息も絶え絶えに反論すると、順平がまたいじわるそうな笑みを浮かべる。
「ずるいじゃないか。お前だけ先になんて……オレも気持ちよくしてくれよ」
「え……やっ……ま、待って……! まだ収まってない、からっ……んん?!」
ざぶん、と仰向けになっていた体を裏返されて、今度は至近距離で順平の顔を覗き込む格好になった洋太。息つく暇もなく大きな掌に後頭部を包まれて引き寄せられ、肺に残った空気ごと吸いつくすような深く激しいキスをされる。苦しくて順平の胸をばんばん叩き、やっと解放されて荒い呼吸を繰り返す洋太。
「はあっ……はあ……なんだよ、もう……今日ちょっと激しすぎだろ……はあ……」
「だから言ってるだろ、溜まってるって。これでもお前を壊さないように滅茶苦茶気をつけてる……」
冗談かと思いきや真剣な顔でそんなことを言われ、また洋太は胸がキュウッと苦しくなった。確かに、なかなか予定が合わなかったのは自分のせいもあるし。少しは優しくしてあげようかな……と思っていた時のことだ。
「どうだ? 今日はこの姿勢で、お前のほうが動いてみてくれないか」
「え、オレが上で? そ、それは……べつにやってもいいけど……」
ちらっと鏡に目が行ってしまう洋太。逞しい男の裸体にまたがり、腰を反らせて恥ずかしそうな赤い顔の自分が映っている。
「や……やっぱ恥ずかしい……どうしてもオレが動かないと、ダメ?」
「このまま思いっきりお前を抱いたら、ケガさせそうで怖いんだよ……。最初だけでいいから」
「うーん……じゃあ、一回……やってみる、けど……オレちゃんと気持ちよくできるかなあ?」
恥ずかしそうに伏し目がちになった洋太の首筋のあたりを見ているだけで、順平はその唇に吸いつき、暴力的に腰を打ちつけたい衝動をこらえるのに血管が浮くほど力を振り絞らなければならなかった。
「お前は、そのままで十分にエロいから……全然大丈夫だ、たぶん……」
「わかった……行くよ?」
洋太は順平の腹の上にまたがる格好のままで膝立ちすると、自分の指で懸命に広げながら、湯船の中で待ち構える中心に向けてゆっくりと腰を落として行った。順平の両腕がそっと細い体を支えている。
「あ……んっ……」
卑猥な水音をさせながら、洋太の後ろは温かい水中のせいか案外すんなりと順平の硬く漲った質量を飲み込み始めて、その圧迫感に洋太は思わずたじろいだ。
(え……うそだろ? こんなでかいの入るわけが……いつもどうやって……?)
必死のあまり眉をハの字に寄せて、何とか後ろの圧力をを迎え入れようと四苦八苦している洋太。
本人の真剣さとは裏腹に、肉付きの薄い腰を斜めにくねらせて、背後に回した腕からの血流でピンク色に立った突起ごと胸を前へ向かって突き出す格好になり、虚空を泳ぐ潤んだ瞳が否応なく男の劣情を誘う。 加えてとどめに半開きの口が、はあ……はあ……と切ない息を漏らしている。
すぐ目の下には、さっきから自分の内側にせり上がる獣じみた欲望を理性で押さえつけるのに、渾身の忍耐力を動員しなければならない身体壮健な若い男がいることの危険さを、洋太は完全に失念していた。
……ようするに、その体勢の洋太は久しぶりの順平にとって、あまりに”目の毒”すぎた。
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