月見団子

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2013年、今から10年前の中秋の名月も満月だった。 この日、まどかはお月見の準備をしてから、同窓会に行っていた父親を自家用車で迎えに行った帰り事故に遭った。 大型トラックのドライバーの居眠りが 原因の信号無視だった。トラックドライバーは軽症だったが、まどかと父親はほとんど即死だった。 僕とまどかは先月籍を入れたばかりだった。 厳密に言うと、僕がまどかの籍に入ったのだ。婿養子ということ。 兄夫婦が両親と既に同居していたし、僕はまどかの父親と馬が合ったし、この風流な日本家屋は懐かしく感じられた。まあ、そんな理由だ。 しかし、それも披露宴もしないうちに無惨にも壊れたのだ。 僕は籍を戻さなかった。 まどかの面影が残っている気がして、この家を離れる気持ちになれなかった。 それから僕は毎年、中秋の名月に月見団子を作り、すすきを飾った。 最初は下手くそだった団子も年を追う毎に、まどかの団子に近づけたと思う。 ただ、満月ではなかった。
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