第9章 和恵

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浴衣を着た和恵と 囲炉裏の前に立つ 目の前の席が空いているのを見て 和恵を促し 左に座って居る年配の女性に軽く会釈をして座った 傍に来た女性にビールを頼み 和恵とグラスを合わせ 右隣の二組の夫婦に軽く頭を下げた 二組の夫婦がビールのグラスを傾け談笑している時 支配人が食堂から一升瓶を抱えて出て来ると 「 3年寝かせた お酒です・・・ 」 一升瓶を抱えて見せ お酒の中で花が揺らいでいるのが見え 「 家の宿のお勧めに 成って居ます 市販出来る程の   量は作れませんので お泊り頂いたお客様への   ご提供とさせて 頂いております お湯割りがお勧めですが 」 囲炉裏に座る宿泊客を見回してくる 「 お湯割りで・・・ 」 泰三の右に居た二組の夫婦達からの声に合わせ 皆が頷くのを見て 誠は大ぶりの湯飲みにお酒を注ぎ お湯を入れ 泰三の横に置いて行くのを隣の夫婦達が取り 泰三は左に座って居る夫婦達に配り 年配のふっくらとした 女性が頭を下げた 誠が湯のみを持ち 「 本日は 有難う御座います どうぞ   お召し上がりください 」 皆が湯呑を口に運び 右に座る夫人の声が 「 美味しい・・・ 」 呟く様な声に 他の客達も頷き 誠に お替わりを注文していく 和恵も湯のみに口を付け 頷いた 湯上りの白い肌が襟元から覗き 細面の切れ長の目を閉じて 口に含んだ お酒の味を堪能しているのが分かる 肩までの髪を 先週美容院でセットして貰い 縦のカールが頬に揺らいで見せている 奇麗だ・・・ こころの中で呟き 今夜・・・・・・ 菅井から聞いたアドレスで メールを入れ 支配人と何度かのやり取りを繰り返して 今日を迎えた 入り口が賑やかに成り 目を上げると 二人の男が入って来るのが見え 左に座って居た大柄な男が立ちあがり 入口へ向かい 支配人を交えて話をする姿を見て 視線を戻すと 右側の二組の夫婦の 男性達が立ち上がり 入れ替わる様に女性の傍に腰を降ろして  話を始めているのが見え 和恵が驚いたように見て 泰三に視線を送ってくる 肩をすくめて見せて 心の中で 夫婦交換かと呟いていた 「 東京からですか 私達広島なんです 」 和恵と変わらない年齢の女性の声が聞こえ 20代後半の女性と 泰三より年上に見える 男性が顔を寄せ合い話す姿を見ながら 目の前の 湯呑を開け 和恵を見ると空に成った湯呑を 手持無沙汰に回しているのを見て 手を上げて 支配人にお代わりを頼んだ 和恵は余りお酒を飲まない体質で 断るかと思っていたが 何も言わず 泰三の手から湯呑を受け取り口を 付けている 「 失礼します 」 泰三の左側に 大柄な二人の男が座り 子供の頃の話しを 小さな声で話すのが聞こえ 一緒に入って来た 男は 和恵の隣に腰かけ 二組の夫婦と話を始めた 囲炉裏に座って30分程の時が過ぎ 年配の女性が 立ち上がり お部屋へ戻るはと言い残して 囲炉裏の脇の扉を開けて 中へ入って行くのを見て 大柄な男二人が 後を追うように部屋へ入って行った 泰三の背中を 支配人の手で軽く叩かれ 泰三は立ち上がって ちょっと 襟元から見える肌が ほんのり色を付けて来た、和恵に耳打ちして 支配人の後を追った 食堂を通り過ぎ建物を回る様に歩く 小さな明かりだけの庭を通り 露天風呂の前のガラス戸を開けて 支配人が 「 失礼します 」 声を掛け 部屋へ入って行く後を付き 部屋へ入ると 先ほど左に座って居た 年配の夫人が 驚いたように見る横を通り 支配人が開けた襖の奥の部屋へ入った 1畳程の部屋の右側のガラスから強い明かりが 支配人に促され 部屋の中の椅子に腰かけ 「 マジックミラーです 間もなく奥様が・・・ 」 支配人は ドアを閉めて出て行き 1畳の空間に 取り残されて 明るい部屋を 覗いた 大柄な二人の男が襖の前に 板壁を取り付けているのが見え  隣の部屋を隠していく 隠し終わると 座布団に座り 談笑を初めて笑い声が 頭の上のスピーカーから聞こえて来た 10分程経った頃 ドアの開く音が聞こえて ・・・えっ!!!・・何ですか?・・・・ 和恵の声と共に 左側から浴衣の和江を 男が押しだす様に 部屋の中央に和恵が立ちすくんだ 年配の女性と一緒に居た 大柄な男が座ったままで和江を見る もう一人の大柄な男が立ちあがり 和恵の傍へ歩み寄ろうと した時 和恵は身を翻し 走る様に視界から消え  和恵と一緒に入って来た男に腹を抱えられて 部屋の中央へ現れた ・・・・ 奥さん ・・・・・・・・ 座って居る大柄な男が 低い声で呼んだ 腹を抱えられ身じろぎしていた和恵の動きが止まり 男に視線を向ける 身じろぎした和恵の浴衣は乱れ 泰三から白い太腿が見え 肉棒に血が回り始めてくる ーーーー いよいよ ーーーーーー 呼吸が早く成り ガラスに顔を近付けていく ・・・さっき奥さんを見て 今夜俺達と 付き合ってくれや ・・・ 低い声で男が薄笑いを浮かべ 立ちあがった大柄な男に 顎で合図を送った 「 嫌です! 主人が待ってますから 帰してください 」 「 ご主人? ご主人なら もう部屋で寝ているよ 」 「 さっき ご主人の酒 良く寝られる様にしておいたから 」 座って居る男が 薄笑いを浮かべ自分の浴衣を脱ぎ始めた 立っていた大柄な男が和恵の後ろに回ると 両腕を掴み 背中を押しつけ和恵の動きを封じ 腹を抱えて居た男が 和恵の浴衣の帯を外すのを見て 大柄な男が和恵の腕を 後ろに回し 帯を抱えた男が腕を縛り始める ・・・いやーーー!!! だれかーーー!!!・・・・ 身悶えながら 大きな叫び声が部屋の中響く 「 ここは 防音に成ってるよ それに この建物   俺達しか居ないから 騒いでも無駄だよ 」 和恵の腕を掴んでいる男が 囁く様に言う言葉が 泰三の頭の上のスピーカーから流れて来た 帯を外された浴衣の前が開き 白い下着が見え隠れして 白い太腿は際までを 泰三の目に見せてくる 思わず生唾を飲み込み 和恵の姿を追っていた 「 奥さん 朝まで付き合ってくれれば 良いだけだから 」 座って居た男が立ちあがり 和恵の前に立つ 背中一面描かれた 不動明王が 泰三に視線を送って来た
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