― 団欒 ―

4/5
147人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
その隣を歩きながら、わたしはふうっとため息をついた。 「真奈美もそうだけど、良平ってホント、過保護だよね。わたし、もう、子どもじゃないんだけどな。そんなに頼りなく見えるかな」 「あぁ、そう見える。だから心配なんだよ。俺も真奈美も」 そう言ってわたしを見る良平に、苦笑しつつ礼を言う。 「とりあえず、ありがと」 良平はわたしから視線を外して、ふっと夜空を見上げた。 「こうやって二人で歩くのは、ずいぶん久しぶりな気がするな」 「そうかもね。良平の家に行ったのも、久しぶりだったしね。楽しかったよ」 「それなら良かった。――そう言えば、今日はもともと用事があったんだったな。それ、結局キャンセルしたんだろ?」 「あぁ、うん……」 わたしは夜空を見上げた。 ―― 今頃あの人はどうしているだろう。 闇色の空に浮かぶ月の姿に、是周の顔を思い出した。 わたしが来なかったことを、怒っているだろうか。連絡したくても、わたしは彼の連絡先を知らなかった。 だから仕方がない――。 そう思うことで、約束を破ってしまったことを正当化しようとした。しかし、もし。 このことで彼に嫌われたらどうしよう――。 そう思ったらにわかに不安が広がって、心がそわつき出した。 良平の声がした。 「みやび?大丈夫か?」 わたしははっとして、慌てて取り繕う。 「お腹いっぱいになって、眠くなってきちゃったみたい」
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!