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この建物の別室には雅允もいるはずだ。こんな声を彼に聞かれたくはない。
そう思い、さらなる声を飲み込もうとした。
「みやび、私のことだけ考えて」
是周が歯を立てて、わたしの胸を噛んだ。
「っつ……」
「私は、君のことしか考えていないというのに」
嫉妬心を含ませた声でそう言うと、是周はワンピースの裾から手を入れた。わたしの脚に手を這わせる。
「ん……ん……」
「みやび……」
是周はわたしの耳元で名を呼びながら、下着の間から指を入れた。
彼の愛撫に、わたしの体はもう溶けかけている。敏感になっている脚の付け根の奥は、ほんの少し触れられただけでもびくりと動く。
すでにじっとりと濡れそぼった秘所を、彼は難なく探り当てた。そこからぬるりと差し入れた指は内側の壁を撫でるようにうごめき、時に暴れ回った。
「あぁっ……ん……!」
好きな人から与えられる刺激の心地よさに、わたしは全身で酔いしれた。子宮の辺りが狂おしいくらいに疼いている。
もっとこの先に進みたい――。
「是周さん、が、ほしい」
うわ言のようにもれたわたしの言葉を、是周は口づけで飲み込んだ。
「ん…んん……」
彼の指が激しく動き出す。
蜜が次から次へとあふれ出すのが分かる程、自分の体が喜んでいるのを感じた。その高まりが絶頂に達した時、全身に電気が流れたような痺れが走った。
ぐったりとしたわたしを抱き締めながら、是周がつぶやくのが聞こえた。
―― 君とずっと一緒にいられたらいいのに。
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