紅に抱かれて

― 疑念 ―

その翌日からだった。大学の講義が終わると、是周に会いに行くのがわたしの日常となったのは。

心配性の幼馴染たちと大学で顔を合わせることがあっても、わたしは適当な理由をつけて、何か言いたそうな顔の二人をかわし続けた。

もしかすると、真奈美は察していながら、何も言わずにいてくれたんじゃないかと思う。わたしが恋をしていることは、彼女にはばれてしまっていたから。

良平は――どうなのか分からないが、わたしの恋には気づいてはいないように思えた。ただ、わたしの素っ気ない様子に明らかに不機嫌そうではあったが。

そうして。

講義が午前中で終わった時は午後から、一日何もなければ午前中から、わたしは彼のもとへ向かい、彼の傍らで過ごすようになっていた。

是周は夜ごとわたしの体に触れて愛してくれた。けれど、決して最後まで抱こうとはしなかった。

何がだめなのだろうか――。

ある時、わたしは勇気を出して彼に訊ねてみた。

しかし彼は微笑みを浮かべながら、こう答えただけだった。

みやびのせいじゃない――。

そしてその後、是周はいつも以上に熱い口づけと愛撫で、わたしをどろどろに溶かした。わたしの頭の中から、その疑問を消し去ろうとするかのように。

結局。

わたしはその快感の渦に飲み込まれて、これ以上何を求めるのかと、その理由などどうでもいいような気持ちになってしまったのだった。