赤いドラゴン

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それを、窓から見たミモザは「ブラック、張り切ってるね~」と、言う。 「無理も無いよ、今までは、自分が、最後の一人だと思っていたんだから」 ロイは、ブラックの喜びが、どんなに大きいか、よく分かる。 「これで、ブラックにも、パートナーが出来たって事になる。 ハリーや、セバスと一緒だ、良かった~」ロイがそう言うと 「後は、ロイだけだね」と、ミモザが言う。 「私は、まだ15歳だよ、パートナーなんて、まだまだ先だよ」 「そう?ロイはハリーより、考えが大人っぽいから、子供だと思えないわ」 「ハリーと違うのは、汚い大人たちを相手に、必死で生きて来たから 世間ずれしてるだけだよ」それこそ、生きるか死ぬかの毎日だった暮らしは ロイから、子供らしさを、奪っていた。 翌日、アデルが、思いつめたような顔で来て 「ロイ様、お願いが有ります」と、言う。 「お願いって?何?」「リリアさんに、お付き合いして下さいって お願いしたんですが、良い返事を、してくれないんです。 ロイ様からも、御口添え願えればと思って」「な、何だって?」 思ってもいなかった話に、ロイは大きく驚く。 この二人には、確か17、8歳の年の差が有る。 「本気なのか?」「勿論です、リリアさんを初めて見た時から、好きでした。 でも、記憶も無い私は、リリアさんに、相応しく無いんじゃないかって ずっと気持ちを押さえていたんですが、もう、限界になって、、」 「それで、リリアは、何と言ったのだ?」 「アデルは好きだけど、歳が違い過ぎるって、、」アデルは、悲しげに言う。 親子ほど、歳の差が有るのだ、リリアが、躊躇するのも、無理は無い。 「分かった、駄目かも知れないが、リリアと話し合ってみるよ」 「お願いします」アデルは、ほっとした顔で、部屋を出て行った。 ロイは、リリアの部屋に行って、この事を話し 「アデルの気持ちには、気付いていなかったのか?」と、聞いた。 「そ、、それ、は、、何と言いますか、、」 リリアは、顔を赤くして、何時もの様な、歯切れの良さは無かった。 「気付いていたのか?」その様子で、リリアも、アデルが好きだと分かる。 「は、はい、気付いていました、、でも、気付かぬ振りをしていました。 「何故だ?」「アデルには、もっと若い娘と、幸せになって欲しかったんです 私は、この、お屋敷の若者たち全員の、母になろうと 思っていましたから」若い頃、身籠った子供を、難産で亡くし その後、離縁されたリリアは、不幸な中で暮らして来た、この屋敷の若者達を 自分の子供として、見ていたと言う。 そんなリリアの優しさに、ロイも、どっぶり甘えていた。 「歳の差なんか、愛の力の前では、何の意味も無いって、セバスも言ってたよ 私だけじゃ無くて、イネスもユアンも、アデルとリリアには 幸せになって貰いたいと、思ってる筈だよ、アデルが好きなら もう一度、アデルと、話してみては呉れないか」「、、、はい」 アデルと、話し合ったリリアは、アデルの願い通り、付き合う事に決めた。 「ロイ様、有難うございました」アデルは、大喜びで報告して来た。 リリアは、恥ずかしいから、二人だけの秘密にするつもりだったが 嬉しいアデルは、屋敷の皆にも報告したので、リリアは、全員から 「おめでとう」と言われ、何度も、真っ赤な顔になり、アデルに文句を言う 「だって、リリアと私が、付き合っているって、知らなかったら 誰かが、リリアにプロポーズするでしょ」アデルは、けろりとした顔で言う。 「誰も、こんなお婆ちゃんに、プロポーズなんて、しませんよ」 「じゃ、ずっと私だけの、リリアって事?」「そ、そうです、、」 「嬉しいな~で、結婚は、何時にする?」「ま、まだ、早すぎます」
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