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出会い
ルイは、カンベラと言う貴族の屋敷の下僕として
8歳の時から働かされていた。
その前は、貧民街で、物乞いをしながら暮らす、孤児だった。
ひもじさに、苦しんでいると、知らない二人の男に、さらわれるような感じで
カンベラの屋敷に連れて来られ、下僕として働けと命じられる。
訳が分からなかったが、取り合えず、食事にありつけるのと
藁小屋と言う、寝場所が有るだけ良いかと、屋敷に留まった。
だが、ルイの仕事は過酷を極めた。
まだ小さな体の骨と言う骨が、背負っている、薪の重みで、軋み
水汲みで、重い水桶を持つ両手は、抜ける程痛い。
炎天下の草取り、極寒の中の雪掻き、どの仕事も、辛い物ばかりだった。
一緒に働く、大人二人に毎日怒鳴られたり、殴られたりしながら
それでも、12歳になった。
ある日、隣の領地に住む、アリウムと言う貴族が、屋敷に来た。
その三日後、ルイは、新しい服を着せられ、馬車に乗せられた。
「どこへ行くんだ」と、馬車の御者と、一緒に居る下僕仲間に聞く。
「お前は、今日から、アリウム様の屋敷で、働くんだ」「ええっ」
何も聞かされていないルイは、驚く。
だが、どこの屋敷でも、下僕の仕事に、それ程の変わりは無い。
もしかしたら、今より、楽になるかも知れないと、密かに期待していたが
心地良い馬車の揺れに、日頃の疲れが出たのか、つい眠り込んでしまった。
それを見た下僕は、御者と、ひそひそと話し始めた。
その声に、目を覚ましたが「ルイの奴、何も知らないで」と言う言葉に
自分の事を言っていると、寝たふりをして、聞き耳を立てた。
「ほんの一日しか居なかったのに、ルイに目を付けるとは
アリウム様は、目ざといな~」「ルイは、可愛いからな~
1000万ギルで、買い取ったらしい」1000万ギルで買われた?
どう言う事だろうと、なおも寝たふりに徹して、聞き耳を立てる。
「金の無い、カンベラ様には、願っても無い話だったんだな」
「ああ、それにしても、ルイは、運がない奴だな~」
「あのアリウム様の、残酷な趣味の為に買われるとはな」
「やっぱり、耳を削がれたり、一つ有れば、見えるだろうと
片目を潰されたり、手や足を切り刻まれたり、するんだろうな」
「アリウム様は、可愛い子供が、その恐怖と苦痛に、泣き叫ぶのを見るのが
趣味だと言う、恐ろしい人だからな」その話の内容に、ルイは凍り付いた。
自分は、アリウムの生贄にされたんだ、1000万ギルで、、、。
どうしよう、だが、逃げる事など出来ない事は、分かりきっていた。
そしてもう、馬車は、アリウムの屋敷に到着してしまった。
「ルイ、着いたぞ、起きろっ」下僕が、ルイを馬車から降ろし
迎えに来ていた、アリウムの下僕二人が、ルイの両腕を、がっちり掴んだ。
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