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そのまま、ルイの足は地に触れる事なく、連れて行かれたのは浴室だった。
そこで、頭の天辺から、足の先まで洗い上げられ、ザァザァと湯を掛けられ
拭き上げられて、素肌にバスローブ一枚を羽織らされて
「こっちだ」と、連れ込まれたのは、ベットと小さなテーブルとイスしか無い
薄暗い部屋だった、その椅子に座らされていると
こんがり焼けた、良い匂いがする肉と、ふかふかのパンと牛乳が届けられ
「食え」と、言われて食べたのだが、食べている間は、恐怖を忘れる程
その肉とパンと牛乳は旨かった。
完食したルイの食器を持ち「このまま待ってろ」と、言うと
下僕はドアを閉め、鍵を掛けて出て行った。
部屋には、窓も無く、物入みたいな所を開けて見ると
使っても良いと言う様に、暖かそうなガウンが掛けられていたが
ベットの上には、枕と、クッションと、毛布が有るだけで
生活に必要な物など、何も見当たらなかった。
不安な気持ち一杯で、待っていると、鍵が開けられ、あの下僕が来て
「こっちだ」と、長い廊下を歩いて、着いた所は、豪華な部屋だった。
そこに居たのは、まるで玉座の様な、豪華な椅子に座り
ワインを片手に持っているのは、アリウムだった。
「ふむ、まずまずの出来だ」アリウムは、嬉しそうな目でルイを見て言うと
「始めろ」と、命令した。
「ははっ」そこに居た従者二人が、ルイのローブを剥ぎ取り
全裸にすると、部屋の柱に両手首と、両足首を縛り付けた。
ルイは、12歳だったが、過酷な労働の所為か、体は小さく
まだ10歳位にしか見えない、大の大人二人係りでは、何も出来ない。
それでも「何をするんだっ」ルイは、口だけで精いっぱいの抵抗をする。
すると「良い声だ」と、アリウムは、ニンマリ笑い、手に鞭を持つと
つかつかと傍に来て、バシッとルイの背中を殴った。
「うわぁ~っ」ルイは、その痛さに悲鳴を上げる。
「良いね、良いね~っ」アリウムは、満足気な声で言うと
また、ヒュンっと鞭を振るう、バシッ、前より強い痛みに「ヒィ~ッ」
ルイの喉から、笛の様な悲鳴が出る。
堪えがたい苦痛に歪むルイの顔を見て、アリウムは、更に鞭を振るう。
見る見る、ルイの背中には、大きな蚯蚓腫れが、沢山出来る。
最後に、力一杯振るったアリウムの鞭は、ルイの背中を破り、血が噴き出す。
ガクッと、ルイは失神した。
ルイが、背中の痛みで、気が付くと、さっきの部屋だった。
ベットに、うつ伏せにされていて、誰かが、背中に薬を塗っている。
涙で、ぼやけている目で見ると、その男には、両耳が無かった。
「え?」顔を上げると、背中に激痛が走る。
「うぅっ」「じっとして、動くと痛むよ」男は、優しい声で言い
「水でも飲む?」そう言って、覗き込んだ男の目は、片方が潰れていた。
「、、うん」掠れた声で言うと「はい」と、水差しを口まで持って来てくれた
そして「寒いけど、何も着ない方が良いよ、傷口に布がくっついて
剥がすと、また血が出るからね」と、言う。
「有難う、明日も、またこんな目に遭うの?」ルイは、弱々しい声で聞く。
「鞭打ちは、一週間ごとだよ、塞がった傷が、また破れてしまうけど
一か月たつと、私は、鞭打ちの後で、足を切られ、次の一か月で耳を削がれた
それからも、足を切られ続け、もう一つの耳も削がれ、最後に目を潰された。
足では無く、腕を切られ続ける奴もいたが、耳と目は、全員やられた。
大きくなった私は、アリウムの趣味に合わなくなって、やっと解放されたけど
こんな体じゃ、何処にも行けないから、ここで、こんな事をしてるのさ」
男は、色々な事を教えてくれたが、どれも、恐ろしい話しだった。
あまりの恐怖で、気が狂った子や、自殺した子、目を潰されたショックで
死んでしまった子なども居たと言う。
「こんな事を聞くのは、怖いだろうけど、いきなりやられるより
少しは心構えが有った方が、気持ち的には、ましだからね」
そう言った男は、足を引きずりながら「お休み」と、言って出て行った。
下僕仲間と御者の話は、あくまで噂話で、いくら何でも
それ程の事は無いだろうと、打ち消していたが、実際は、もっと酷かった。
俺も、直ぐに耳を削がれ、手や足を切られ、最後に目を、、ぶるっと震える。
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