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赤いドラゴン
エマを見つけてくれたのは、大蜥蜴の生態を調べていた、動物学者だった。
見つけた卵を、温め続けて二か月、卵は孵化した。
大蜥蜴の卵だろうと思っていたのに、産まれたのは、赤いドラゴンだった。
「絶滅したと、思っていたのに」と、驚きながらも
産まれたドラゴンを、大切に育てた。
エマは、ケネスを、親だと思って育ち、人の言葉も覚えた。
ケネスは、エマの為に深い森の中に家を建て
そこで人目に付かない様に、ひっそりと暮らした。
人に見つかれば、興味本位で、何をされるか分からない、そう思ったのだ。
だが、エマが20歳になった時、ケネスは帰らぬ人となった。
悲しみに沈んでいたエマは、悪い男達に捕まり、見世物小屋に売られた。
檻に入れられ、太い鎖につながれて、人の目に晒される。
だが,、ある日「これ、本当にドラゴンなの?」と、子供に棒でつつかれ
思わず「やめてよ」と言うと「ドラゴンなのに、人の言葉を喋った」と
驚かれ、偽物だと大騒ぎになって、人を騙したと言う罪で
見世物小屋の、主人は捕まった。
「これじゃ、もうこの小屋はお終いだ、お前の所為だぞ、どこへなと行け」
エマは、鎖を解かれ放たれた。
どこへ行けば良いか分からず、当ても無く空を飛んで、あの島を見つけ
ここなら、誰にも迷惑はかけないだろうと、住んでいたと言う。
「エマも、苦労したんだな~」ブラックは、可哀そうに、と言う目で言った。
「何で、捕まったの?逃げれば良かったじゃないか」ロイはそう言ったが
「人に、乱暴をしちゃいけないって、父に、きつく言われていたから」
エマは、父の言葉を守って、されるがままになっていた様だ。
「こんな所に、一人だなんて、寂しいだろ?私と一緒に暮らさないか?」
ブラックが、そう言うと「良いの?」と、エマは、目を輝かせる。
「良いよな、ロイ」ブラックにそう聞かれ「良いとも」と、ロイは答える。
「有難うブラック、有難うロイ」エマは二人に、お礼を言った。
その日は、エマの洞窟で寝て、翌朝、一気にロイの屋敷まで飛ぶ。
ブラックは、自分の巣でエマを休ませ、自分は、エマの為に巣作りをする。
「エマ、潮風で体が気持ち悪いだろ、湖で、潮を落とすと良いよ」
ロイにそう言われ、エマは、湖で水浴びをした。
「わぁ~綺麗なドラゴン!!」屋敷中の者が、エマを見て称賛する。
「皆様、お世話になります、エマと言います、宜しくお願いします」
エマは、そんな皆に、丁寧な挨拶をした。
「まぁ、なんて礼儀正しいドラゴンなの」皆は、驚きの顔を見合わせ
「人に育てられたんだって」「道理で、人に慣れていると思ったよ」
「エマと言うなら、女の子だよね」「可愛いし、きっとそうだよ」
等と、言い合った。
「エマ、屋敷の者は皆、お前を綺麗だとか、可愛いとか言ってるぞ」
ブラックがそう言うと「まぁ、そんな嬉しい言葉、父以外の人から貰うなんて
初めてです」と、エマは、目を潤ませて言う。
「この屋敷の者は、全員、良い奴ばかりなんだ、安心して良いぞ」
「はい」「天井、これ位で良いか?」「はい、十分です」
「じゃ、ちょっと獲物を獲って来るよ、ご近所さんだから
この森では、狩りは、しない事にしているんだ」
「そうですか、でも、お疲れなのに、、私、明日でも一向に構いませんが」
「良いから、良いから、すぐ戻るからな」と、ブラックは、夕暮れの空を飛ぶ
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