銀杏の光は永遠に ~秋山ヴィオラは、窓際でまどろむⅢ

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 バスを見送り、二人でマンガ部室に戻った。 「あのさーヴィオラ。気になってるんだけど」 「なあに?」 「二十年来の謎にしては、あっさり解けたよねえ」 「幽霊の正体見たり枯れ尾花。そんな話だったってことよ」  ヴィオラは窓際で微笑むだけだ。 「あとヒカルが二人のキスを見た話だけどさー」  今度は、あたしを向いた。 「十五年前だと校舎側にトタン屋根があるよね。結構長くて大きく張り出してる。てことは焼却炉の二人も二階から見えないんじゃない?」  そして大きな目を開く。 「さすが乃々ちゃん。ご明察よ」 「ご明察って……」  あたしはとまどう。 「じゃあ、なんで焼却炉近くに手紙があるってわかったの?」 「さあ。なんででしょう?」  そう言ってウインクした。 「その謎は残っても三人の恋物語に変わりはない。それ以上は畠山さんが知る必要はないのよ」  ヴィオラは銀杏に視線を向ける。 「瓶は一度開けた証、少し土が入ってた。名探偵みたいに発見した事実を暴露するだけが、正義じゃないと思うわ」 「それって……」 「うん。私たちも新聞部先輩のように美しい学校文化として語り継げば、十分じゃないかしら」
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