霊視

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霊視

娘はいつからか 「霊が視える」と 言い出した。 自分の部屋も前までは 流行りのK−POPのグッズだらけで 囲まれていた 所謂 THE 女子高生のような 部屋は今、お札やお清めの塩などで 取り囲まれた“異質な空間“の自室になっていた。 「サクラ、あの部屋どうしたの?お母さんでも怖いと思ったよ」 私はサクラの部屋に掃除などで入るたび 気が落ち着かなくなり 1分も経たずして退室してしまう。 そんな悍しい部屋で寝ている 娘の気がしれない。 しかし 「しょうがないじゃん。だって、そうしないと若い女が部屋に入ってくるんだもん」 と眉間をつまみ眼精疲労を取りながら 娘は言った。 私はもっぱら娘の言うことを信用していない いやというより この世に霊の存在を信じていないから 比例して娘の空想も 自然と聞き流してしまう。 だから また今度はK−POPの他に オカルトマニアという 新しい趣味が出来てのだろうとしか 思わなかった。 人に迷惑をかけない程度に してくれれば 少しは目を瞑ろうと 心の中で娘の変わった趣味を 許容していたが ある日 娘の行動は常識の範囲を超えた。
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