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俺の名前は影也 直人(かげや なおと)
趣味は筋トレの、無駄に体つきだけは良い、彼女&仕事無い歴=年齢。
いわゆるニートと言う奴だ。少し前までは…
何があったか説明すると、
俺は小学から高校まで遊びに遊びまくり、ろくな仕事も付けずにそのまま無職、
そして今は親が文句を言い続けた中、耐えきれなくなりブチ切れで出てきたところだ。
はぁ…なんで出てきてしまったんだ。
あそこには飯だろうとパソコンだろうとなんでもあったのに、俺なんかしたか?
いや何もしなかったから追い出されたのか。
そんなことを考えながら歩く。
これからのことを考えなきゃいけないが、もちろん貯金なんてしておらず、出ていく時も泣きのお小遣いである30000円だけ持ってきただけなので詰みである。あと念の為スマホ。
考えれば考えるほどお先真っ暗で嫌になる。
いっそ最後の迷惑で死んでやろうか…
痛いのは嫌いだし、そんな度胸無いのだが。
そんな感じでトボトボと歩いていると、目の前に目を疑いそうになるような光景が飛び込む。
「なっ…あれ!!」
ふと信号に目をやると、青信号を元気よく渡っている女の子と居眠りでもしてるのか、止まりそうにないトラックだ。
世間ではトラックは異世界転送装置、なんて言われてるがこんなこと本当に起こんのかよ!?どうするべきなんだ!?
考えている間にもそのトラックは止まることなく女の子の方へと走り続ける。
俺は助けたいが、身代わりになるのが怖くて足が出ない自分を嫌いになりながらも、考える。
トラックが来てるの叫ぶ?確かにまだ間に合いそうだが、小学生レベルの女の子にあれが回避できるか?それじゃあ俺が助ける?
間に合うのか?女の子は背中を押せば、助かりそうだが、俺は?そしたら俺は当たるのでは?
どうすれば、どうすれば、どうすれば…
そんな時、ふと思い出がフラッシュバックする。俺は今まで、誰かに必要とされてきたか?
思い返せば、小中学生なんかは、ふざけてる奴は面白いと思われ、友達が出来たが、高校からは誰一人できなかった。
俺の評判は自然と『ふざけてる奴』で固定され、面白くはあるが、友達になるレベルではないという形になっていき、1人きりになった。
あの子は俺とは違う、まだ明るい未来がある。
所持金30000円でもう終わりだ、死ぬんだー。
なんてくだらないことやってる俺より未来がある。それなら…それなら!
なんだ、足動くじゃん。
俺は本気で地を蹴った。
この瞬間は、自分が筋トレを趣味にしていたことに感謝をして、ただただ全力で、女の子の背中に向かって走った。
そして…
«タン!!!»
背中を押す音が響く。
届いた、やった。やってやった。
俺は無価値な人生から、人一人救った人生に変えてやったんだ。あとは俺も避け…
次の瞬間、俺はトラックに衝突し、激しく頭を揺らして意識を失った後、
死んだのだった。
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