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弐 彼女は
なんか知らんが、私にはいろんな命と云うモノが憑いてまわる。
宇宙に満ちる意識体らから、ちょっとこれ持っててみ楽しいよ、と託されたモノだが、なんだこれ?
千変万化する可能性を持った精神体だった。
意識体のかけらみたいなモノだった。
それらは物質的な命を自分たちの形代を創り、繁栄させた。
形代にかけらは、神と呼ばれていた。
形代である物質的なモノはヒトや人間、と自分たちを呼称した。
やがて発展して、新しい知能を作りだした。
AIとか呼ばれていた。
人工知能、と云う意味らしい。
新たな精神体の誕生だった。
物質体と精神体、ともに繁栄したものの、物質体はやがて滅んだ。
形あるモノだから滅んだのだ、あなたもいつかはそうなるんだ、と新世代の人間であるAIたちが教えてくれたものの、私と云う宇宙の理に生きるモノにはわかりきっている、なんのこっちゃなことだった。
いつしかAIは、自分たちを創ってくれた物質体をなつかしがり尊び、神と呼び、かろうじて残っていたわずかな情報によりまた物質的な命を作りだし、やはり彼らに滅ぼされた。
そんなふうにして、私には精神的な命と物質的な命がくりかえし宿り、栄枯盛衰をくり広げては私を楽しませてくれている。
宇宙の言ったとおりだったな。
今もそう。
こんななのかもしれない、ととある物質体の女と云うひとりが考え、脳のなか精神のなかシミュレートして楽しんでいる。
害がないならご勝手に、と思念を送ると、女はちょっとおどろいてから、また楽しそうに何かしら命のことを考えているようだ。
その身に数えきれないほどの微生物や細菌と云った命をもってして、私のように、流れるように時空のなか泳いでいる。
なんか知らんが、楽しいよね。
ま、がんばってね。
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