「みかん狩り」×「木枯らし」

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「みかん狩り」×「木枯らし」

奇妙なバイトを見つけた。 神バイトと書いて有る。 「何か怪しいな」 読んでみたら、緊急募集何人でも可。 しかし報酬は (幸せ) と書いて有る。 お金じゃなくて幸せか。 (みかん狩りに行き、好きなだけみかんを持ち帰り、行方不明人を見つけて助ける) まあ、みかんを大量に持ち帰り皆に分けても良いかな。 暇潰しにやることにした。 応募したら、すぐに返信が来た。 指示された、みかん農園に行く。 斜面にみかんの木が並んでいる。 持参した大きな袋に、みかんを詰め込む。 すぐにいっぱいになった。 次の指示が来た。 上の岩場に行方不明人が挟まっているから助けて。 分かってるなら自分で行けよと思いながら歩く。 しばらく岩場を探すと、猿が岩に挟まっている。 依頼主にメールした。 「猿を発見しました」 返信が来た。 「その猿は孫悟空だ、凶暴だから、三蔵法師が行くまで見張っていてくれ」 孫悟空に三蔵法師って西遊記じゃないか。 しばらく待つと馬に乗った三蔵法師らしき人が来た。 「お疲れ様です、あとは私がやりますから、お帰りください」 「はあ、報酬を頂けますか」 「後日、差し上げます」 三蔵法師は猿の頭を引っ張る。 猿は痛いのかギャアギャアわめく、岩の裂け目から引っ張り出された猿に、三蔵法師は輪っかを嵌めた。 西遊記の話通りじゃないか。 三蔵法師と猿は馬に乗り去った。 俺はみかんの入った袋を背負う。 重たいが歩き出した。 「あれっ」 いつの間にか、みかん農園が消えていた。 山から降りると、周りは荒れ地が広がっていた。 小さな池が有り、休息を取る。 水を飲もうとしたら足を滑らせて池に落ちた。 急に頭をつかまれて引き上げられた。 「お前か悪さをする沙悟浄は」 見たら、さっきの猿と三蔵法師が立っていた。 「私は沙悟浄では有りません」 「お前、池に写る顔を見ろ」 げっ 俺はカッパみたいな姿になっていた。 結局、三蔵法師の供にされた。 俺は西遊記の世界に入り込んだのか。 しかし荒野を旅して、三蔵法師様の説法を聞いて妖怪退治をするうちに幸せを感じた。 孫悟空や猪八戒も仲間で楽しい。 天竺まで行き帰るまで長いが、まぁ良いかと納得した。 その時、荒野に木枯らしが吹いていた。
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