「貯水」×「水神様」

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「貯水」×「水神様」

長く雨が降らないから、近くの大きな池が干上がった。 一番深い場所に石で組まれたような小さな墓みたいなものが出現した。 貯水地として作られたのか昔から有る池かわからない。 一部に文字が見えたから、拭いて綺麗にしてみた。 確かに文字が書いて有る。 石田とよ そう書いて有る。 帰宅して祖母に聞いてみた。 あー、江戸時代の古文書が蔵に有るから調べてみようか。 祖母と蔵に行き、古文書を読んでもらった。 あった、石田とよ。 うちの家の先祖様だよ。 今は川の流れが変わったが、江戸時代には池の場所は川が流れていた。 何度か橋を掛けたが流されてしまった。 それで石田とよが、人柱として埋められた。 「生きたまま、埋められたって」 「そうだよ、人柱だからね」 「今は水神様になったのかな」 翌日も行ってみると、石組の有る場所に誰か居る。 長い髪の若い女性だ。 不思議に怖くは無くて、声を掛けてみた。 「石田とよさんですか」 「そうだ」 何かしら悲しそうな目をしていた。 「何のために私は死んだのだろう」 「今は川も流れが変わり、橋も無くなりました、深く堀り池になっていました」 「池は役に立つのか、もう私の役目は終わったようだ」 そして、とよさんは消えた。 天国に行ったのだろうか。 その夜から激しい雨が降り、数日したら元の池になっていた。
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