「おでん」×「人生ゲーム」×「手袋」

1/1
前へ
/9ページ
次へ

「おでん」×「人生ゲーム」×「手袋」

最近、急激に痩せて来た。 好物の、おでんも美味しくない。 妻は私がガンかもしれないから、知り合いの医師に検診してもらったら良いと勧めてくれた、私も決断した。 何だか怖いが、ガンなら早期治療で治るかも知れないと期待を持った。 一泊二日の検診だ。 初日の検査が終わり 私は宿泊施設で寝る準備をしていた。 急に担当医師が部屋に入って来た。 「奥様から伺いましたが、最近は寝不足らしいですね、良い睡眠導入剤が有りますから服用されますか」 医師が差し出したカブセルを受け取り、早速服用した。 「ありがとうございます」 「では、お休みなさい」 すぐに眠く鳴ったが意識はハッキリしている。 しばらくすると、先ほどの医師が、やって来た。 「寝ているな、飲んだのは仮死状態になる薬だ」 医師はスマホを取り出して電話を掛けた。 「京子か、予定通り薬は飲ませた」 「京子は、妻か」 騙されたと後悔した。 「このまま死亡診断をして、火葬場行きだ、やっと君と結婚出来る」 何だって、こいつは妻の不倫相手か、くそう。 しかし体は痺れたように動かない。 何とかならないのか。 そのまま、死亡診断されて自宅で通夜になった。 棺桶に入れられて、もう終わりだ。 「保険金は一億円らしいわ」 「社交的じゃなくて嫌な男だったな」 声で誰が話しているかわかる、ちくしょう。 読経が終わり、火葬場に運ばれるのか棺桶が揺れている。 このまま火葬されて終りか。 もう諦めの気持ちになってきた。 「神様、助けてください、助かったら何でもします」 急に外が騒がしくなった。 聞いていたら、火葬場の機械が急に壊れて火が点火しないようだ。 明日に治れば火葬することになった。 助かった 私は涙を流した。 「神様、ありがとうございます」 翌朝にも機械は治らなかったのだが、夕方になり麻痺が来たなおって、思い切り手で棺桶を叩き叫んだ。 「焼くな。私は生きているぞ」 すぐに棺桶の蓋が開かれ白い手袋が見えた。 なにか無気力に生きた私の人生ゲームだった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加