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「バレンタイン」×「片思い」
俺の、ご主人様は明智光秀に仕えていた。
本能寺で信長を襲ったのは良いが、その後に毛利と戦っていた秀吉が停戦して京を目指して進軍した。
明智方は一万人の兵力だが、秀吉は三万くらいに膨れ上がっていた。
ご主人様や配下の百人くらいが鉄砲を抱え桂川を渡り布陣した。
俺たちは負けない自信があった。
何しろご主人様が敬愛する光秀様が指揮を取るから勝つに決まっている。
しかし京で新規に召し抱えた浪人達が、秀吉軍の猛攻を受け逃げ出した。
こちらに向かい逃げて来る、千人は居たかもしれない。
俺たちの陣も乱された。
こうなっては戦いどころではない、ご主人様共々逃げた。
光秀様も逃げたようだ。
途中に小栗栖辺りで土民の攻撃を受けて俺は死んだ。
死ねば浄土に行く話はウソなのか、ずっと死んだ場所から動けない。
死ぬと、すぐに動ける者が居れば、俺は70年は動けなくて困ったが、やがて動けるようになった。
しかし、ここは死んだ場所、墓も無く寂しい気持ちだ。
誰か来たら、俺の墓を作らせようと考えた。
辺りには高いたて物が並び、人の髪型や服装も変わった。
ある日、一人の女性が前を歩いていた。
あっ
前を横切る女は、俺にはわかる、結婚を約束していた女だ、生まれ変わっても俺にはわかる。
俺が死んだ後、どうしたのか心配していた。
すると女は、ナイフをバックから取り出した。
喉を突く前にナイフを叩き落とした。
俺も長い間に、それくらいは出きる力が有る。
女は、俺の姿を見て驚いた。
幽霊?
俺が見えるのか、バカな真似はよせ。
はい
俺の姿は、どう見える、
「鎧と長い髪、凄まじいお顔でございます」
そうか、お前は何故死ぬ。
「はい、ずっと片想いの方が居て、バレンタインデーに告白したのです」
よくわからんが、それからどうした。
「振られたのでございます、しかも大学の友達の前で」
それで死ぬのか。
「はい」
バカな真似はするな、お前は前世に妻になるはずだったが、俺は戦で死んでしまった。
「そうなんですね」
18年待ってくれないか、俺は生まれ変わり会いに来る、結婚しょう。
だから、生きてくれないか。
「わかりました、あなた様のために生きます、ずっとお待ちしています」
ありがとう、では行く。
「お待ちください、あなた様のお名前は」
新兵衛だ。
「新兵衛様、お待ちしています」
うむ
新兵衛様はすぐに天に向かい昇って行かれた。
私の気持ちは晴れ晴れとしていた。
そして、その場所に新兵衛様の墓を作り毎月墓参りをしている、新兵衛さまと再会するまで。
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