「猛暑」×「彼岸花」

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「猛暑」×「彼岸花」

ギラギラ輝く眩しい大陽、朝からムッと来る蒸し暑さ。 明美は待合室から外に出て日陰に座っている。 「お父さん、こっちが涼しいよ」 女子高生の明美は白いワンピースを着て微笑む。 リムジンが駅前に止まった。 「田辺様ですか」 「はい、そうです」 「お迎えに参りました」 初老の運転手は車外に出て、ドアを開いた。 「ありがとう」 明美はリムジンに初めて乗るから興奮している。 「明美、夏休みは祖父の屋敷で暮らすんだ、贅沢出きるぞ」 「うん」 嬉しそうに頷く。 「初めて会うのだが、お前は祖父の亡くなった娘の由紀に似ているから由紀と名乗るんだ」 「何で?」 「祖父は認知症が入っているから、お前が娘と信じて疑わない、全財産はお前が相続出きるぞ」 「お父さん達は?」 「早くに家を出たからな、由紀だけが家に残ったが、早くに病で亡くなった」 「そうなんだ」 実は俺は早くから、遺産相続を狙い由紀のクローンを作っていた。 そして由紀を病気に見せかけ毒殺した。 明美は由紀にそっくりだ、クローンだから。 猛暑の中、リムジンは山頂の屋敷に到着した。 庭一面には彼岸花が咲いている。 屋敷に入り大きな食堂に入る。 やがて車椅子に乗った父がやって来た。 「お父さん、由紀を見つけたから連れて来たよ」 由紀は立ち上がり微笑む。 「お前は何を言っている、由紀はここに要るぞ」 気がつかなかったが、車椅子を押していた女性は由紀だ。 年は取っていてわからなかった。 「何故、ここに由紀がいるのに、何を言っている」 「はい、実は娘でして明美と言います」 俺は冷や汗をかいた。 「ははは、実は由紀は私が若い頃に好きだった女のクローンなんだよ」 「えっ」 「残念だったな由紀は一命を取り留めた」 その時に食堂に20人くらいの用心棒みたいな奴等が入ってきた、 「では死んでもらう、明美は孫として育てる」 おじいさま。 明美は祖父に抱きつき、祖父はニャニャしていた。
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