第1話 ゴミステーションの掃除機(タンデム掃除機の元ネタ)

1/2
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

第1話 ゴミステーションの掃除機(タンデム掃除機の元ネタ)

 前回執筆した「夏の怖い話」が思いのほか好評だったので、そういうわけでもないのだけれど、第二弾「秋の夜長の怖い話」を書いてみたいと思ます。    二十数年前のことである。  舞台は千葉県の市街地のごみステーション。  月に二回だけ粗大ごみを捨てる日があって、その時の体験談を。  そのごみステーションは住宅街の一角にある。付近にはスーパーやコンビニ、銀行が並び、少し歩けばバス通りとJRの駅がある人口の多い場所である。とはいっても、夜中になるとばったり人通りは途絶えてしまう地域でもあった。  多分、午後十時頃だったと思う。  満月よりやや小ぶりな二十三夜の晩である。青い光がこうこうと夜道を照らしていた。仕事を終えた私がとぼとぼと独り暮らしのアパートに向かって歩いていると、ごみステーションの前に人影が見えた。不要になった粗大ごみでも捨てに来たのだろう。あたりは暗いので、目を凝らしてみないと何が捨てらたのかわからない。その住人も男か女かの区別もつかなかった。  私は疲れていたし、そんなことはどうでもよかったのだが…  え?   次の瞬間、私は目を疑った。人影が忽然と消えたのだ。    
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!