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第1話 ゴミステーションの掃除機(タンデム掃除機の元ネタ)
前回執筆した「夏の怖い話」が思いのほか好評だったので、そういうわけでもないのだけれど、第二弾「秋の夜長の怖い話」を書いてみたいと思ます。
二十数年前のことである。
舞台は千葉県の市街地のごみステーション。
月に二回だけ粗大ごみを捨てる日があって、その時の体験談を。
そのごみステーションは住宅街の一角にある。付近にはスーパーやコンビニ、銀行が並び、少し歩けばバス通りとJRの駅がある人口の多い場所である。とはいっても、夜中になるとばったり人通りは途絶えてしまう地域でもあった。
多分、午後十時頃だったと思う。
満月よりやや小ぶりな二十三夜の晩である。青い光がこうこうと夜道を照らしていた。仕事を終えた私がとぼとぼと独り暮らしのアパートに向かって歩いていると、ごみステーションの前に人影が見えた。不要になった粗大ごみでも捨てに来たのだろう。あたりは暗いので、目を凝らしてみないと何が捨てらたのかわからない。その住人も男か女かの区別もつかなかった。
私は疲れていたし、そんなことはどうでもよかったのだが…
え?
次の瞬間、私は目を疑った。人影が忽然と消えたのだ。
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