第3話 ポルターガイスト現象

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第3話 ポルターガイスト現象

 先のページで登場した霊感の強いパートさんのこと。金井兼子さんとしましょう。  金井さんはポルターガイスト(騒霊現象)を実際に経験したそうである。  夜、子供たちとテレビを見ていると部屋全体の揺れを感じた。初めは地震だと思った。しかし、玄関のドアを誰かが力任せに叩く音がして、次に突然、テーブルのコップが飛んで壁にぶち当たった。そのあと天井が飴のようにねじ曲がって、電灯が今にも落ちそうなぐらいに、振り子のように揺れたという。押し入れの奥からうめき声がして、ふすまが開き、魚が腐ったような悪臭が漂う。  その時、一瞬だが、金井さんは残バラ髪の侍の姿が見えたという。金井さん一家はひとかたまりになって、じっとして騒ぎが収まるのを待った。  揺れは突然止まって、静かになった。開いたふすまの奥を覗くと、収納していた座布団や鞄類が動かされた形跡はなかったが、土のにおいがしたという。
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