幼なじみ

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「ねえ、ねえ。怪我の具合はどう?」  玄関横の狭い台所で人数分のグラスを用意していると、横に立っていた尊(たける)が手作り唐揚げが詰まったタッパーを袋から出しながら尋ねてきた。 「まあまあかな? 痛みは残ってるけど、もう傷自体は塞がっている。お前らの助けが早かったからだな。ありがとう」  そう言うと、尊は「よかった」と笑いながら唐揚げを一つ俺の口の中に押し込んできた。料理上手な尊が作る唐揚げは、いつ食べても美味い。空腹だった腹が幸福で満たされていく。 「お前ら、早く座れよ~。おれは早くこれを飲みたいんだ~。久しぶりの日本酒~」  この中で一番の巨漢、友春が一升瓶に頬擦りしながら酒盛りの開始を待っている。  六畳という狭い部屋に、男六人が集まり腰を下ろす。部屋にはあまり物がないので、そこまで窮屈さは感じない。とはいえ、つまみと酒を囲む野郎だけの光景は色気がなく、若干むさ苦しい。 「では、陽介の退院を祝して、カンパーイ」 「カンパーイ」  リーダー洸希の音頭で酒盛りは始まった。 「日本酒なんて久し振りだな。どうしたんだ、これ?」  異星人との戦争が始まってから、日本酒は滅多にお目にかかれなくなった。主な原因は食料確保のために、酒米を作っていた水田を食用米用にしたからだ。しかし、まだ被害の少ない地域では小さな酒蔵などが稼動していて、数は少ないが流通に乗り遠くの拠点にも流れてくることがある。が、そのどれもが高く、俺らのような下っ端にはなかなか手が出しにくい代物だった。なので、普段は海外から物資と一緒にやってくる安い酒を飲んでいる。それでも毎日の晩酌にはできない値段設定ではある。
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