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「ユウか。いいな、それ。ユージーンって、日本語っぽく言ったら『友人』だしな」
「友人……。――ボク、それがイイっ! ボクのことユウって呼んで」
ユージーン……ユウはパァーッと表情を破顔させ、『ユウ』という愛称を受け入れた。
ユウの愛称も決まり、俺たちは秘密基地で解散した。家が隣同士の俺とユウは、お喋りをしながら夕暮れの道を家に向かって歩いた。
「ユウ君。転校初日、どうだった?」
「楽しかったぁ。ボクってみんなとの違うから、ちょっと不安だったんだ。でも、みんな、ボクを友達としてすぐに受け入れてくれた。すごくうれしかった。ユウって愛称もみんなとの特別みたいでうれしい」
ユウは本当に嬉しそうだった。その笑顔を見ていると、こっちまで嬉しくなった。
「ねえ、陽介くん。ボクがユウなら、陽介くんのこともヨウくんって呼んでもイイ?」
「えっ? あっ、うんっ! いいよっ」
思いがけないお願いに、俺は二つ返事でオッケーした。すると、ユウは「ありがと、ヨウくん」と、はにかんだ。
こうして、転校生ユウと俺たちとの日常が始まった。
俺とユウは、家が隣同士ということもあって、本当によく一緒に遊んでいた。洸希たちと予定が合わなくて遊べない時でも、俺はユウと二人で色々な所に行ったり、俺の家でゲームをしたり、楽しんでいた。
けど、俺がユウの家に行くことはなかった。俺だけじゃない。洸希たちや大人たちもユウの家に上がったことはないだろう。
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