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そんな俺の心情など知る由もなく、奴は持っていたアサルトライフルをハンドガンに持ち替え、俺に向けて構える。そして、間髪入れず撃ってきた。
「――――っう、うぐぁぁーーっ!」
至近距離からの発砲。弾は肉だけでなく骨をも砕き、肩を貫通した。
尋常じゃない痛みに悲鳴が抑えられない。激痛に悶え、全身に力が入る。すると別の場所に負った傷の痛みも誘発され、全身に堪えがたい痛みが襲い掛かってくる。
苦しむ俺の姿を見ながら、奴は笑みを浮かべる。そして、さらなる愉悦を求め、二発、三発と、発砲を重ねる。奴らの意地の悪い性格はここにも出て、急所を避けて末端から狙ってくる。
「ぐっ……はぁ、はぁ……うぅ……」
痛みが限界を超え、反応が鈍りはじめた頃、再び攻撃が止んだ。止むには止んだが、銃口は未だに俺に向いたまま。いつもの戯れの時間。『逃げられるなら、逃げてみろ』と、言っているのだ。
本当に憎らしい性格だ。悪態をついてやりたいところだが、今の俺にはそんなことを言う余裕なんてない。俺ができることは、奴を精一杯睨みつけ自身の戦意を消失させないことだけ。
深く暗い銃口、その先にいる青い瞳の異星人。
青い瞳……。その瞳がなぜか気になる。綺麗とかそういった単純な理由じゃなく、妙な感覚で引き付けられる。俺は揺らぐ戦意を引き止めながら、奴の目を見続けた。
「――――⁉」
理由が分かった……。それは、奴の手首にある戦場に似つかわしくない物の存在……。
「…………それ……、まだ持っていたんだな……」
俺がそう話しかけると、奴は不可解そうに眉間にシワを寄せた。
「……夢は……叶ったのかよ」
続けてそう言うと、奴は何かに気づいたようだ。
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