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「虐殺は好まない? だったら、何で俺たちの故郷はあんなことになったんだ。あれこそ、一方的な虐殺じゃないのかっ」
行いと発言の矛盾を強く指摘すると、淡々と語っていたユウは言葉を詰まらせた。
「……それに関しては、申し訳ないと思ってる……。地球人に敵意を持たせるために必要だと……」
怒りと苛立ちをぶつける俺の視線から逃げるように、ユウは視線を逸らした。その時の表情は苦しみに満ちたものだった。
俺はパステト人の身勝手さに怒りをぶつけたが、ユウに責任を追及するのは筋違いかもしれない。当時、ユウは俺たちと同じ子供だった。今は任意で狩りを行っていても、当時はただ巻き込まれただけの子供なんだ。だって、あの秋祭り日、俺の手を振り払ったユウは泣きそうな顔をしていたのだから……。
俺は深呼吸で自身を落ち着かせた。
「でも、どうし地球なんだ。もっとレベルの高い文明を持った星ぐらい、お前らの科学力なら見つけられるだろ」
声に冷静さが戻っていたことで、ユウは一度俺の方に顔を向けた。けど、罪悪感からか、すぐに逸らし、地面に転がるライトの方をぼんやりと見つめていた。
「ターゲットの選出は突発的に行うこともあるけど、早くから目星を付けておくこともある。地球は後者で、四千年くらい前に決まったって聞いてる。たしか、そのくらいの時期に他の惑星からの接触があって、高度な文明発展が見込まれたから」
「はぁっ? 四千年前⁉ どんだけ気が長いんだよ」
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