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歓喜が一変、重大なことに気づく。こいつらは、地球人とは比べものにならないほどの科学力をもつ異星人。戦争の終結とは、一方的な虐殺の始まりなのでは……と。最悪な結末が脳裏をよぎるが、同時に『一方的な虐殺は好まない』という発言も思い出し、疑問も生じる。
「言っただろ。オレたちにとって、この戦いは『狩り』。本能を満たすための行為であって、獲物は狩り尽くすようなことはしない。一つの惑星で行う狩りの期限は最長で十年と決まっているんだ」
「つまり、もうすぐユウは地球を去るのか……」
「……そうだね。そういうことになる」
戦争が終わる。この苦しみが終わる。どんなに喜ばしいことか。
なのに、気分は晴れない。逆に、胸の奥にモヤモヤとした別の苦しみが広がっていくばかりだ。
「ねえ、ヨウくん。もうこんな風に話せる機会はないかもしれない。今からは、もっと楽しい話しをしない? ヨウくん個人のこととか」
「……そうだな。ユウのことも色々聞かせてくれ」
「うん」
ようやくユウがこちらに顔を向けた。その顔は、ユウ君に戻っていた。
俺たちはたくさん話しをした。懐かしい共通の思い出、別れてからの十年間の話し。たくさん、たくさん……。
「ねえ、こうやって話していると、二人で秘密基地に泊まった日のこと思い出すね」
「……あの日か」
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