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ユウの右手首にある黄色いプラスチックビーズのブレスレット。年月を経て色褪せたそれが視界に映る。
右手が優しく頬に触れ、ユウ君の面影を残した大人の男の顔が近づいてくる。
そして、そっと唇が触れ合った。
「拒絶しないんだね」
唇を僅かに離し、問い掛けてくる。
俺の気持ちを煽っておきながら、そんなことを聞いてくるなんて卑怯だ。心の中でそう悪態をつきながら、俺は心のままを答える。
「……できる訳ないだろ。…………俺も……俺も同じなんだから……」
そう言うと、ユウは一瞬大きく目を見開き、「本当に?」と、聞き返してきた。俺は「そうだよ」と、短く返す。すると、ふっと微笑み、
「……嬉しい」
と、言い、再び唇を重ねてきた。
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