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◇ ◇ ◇
少し休んだ後、気怠さを残した身体を起こし、取り敢えず下だけを穿く。埃っぽくてもひんやりとした地下の空気が火照った身体に心地好いので、上はまだ着なくてもいいか。
しかし、冷静になってみれば、とんでもないことをしたなと思う。
壁を背にして座る俺の横で、同じような格好でいるユウを見つめる。好きなヤツがすぐ側にいて、想いを確かめ合えた。それがどんなに幸せなことか……。俺は今の幸福をじっくりと噛み締める。
そんな俺の視線に気づいたのか、ユウがこちらを向き、笑顔でキスをしてきた。
キス以上のことをしたというのに、なぜか照れてしまう。俺は照れ隠しとばかりに、無理やり話題を振った。
「そういえば、ずっと俺を忘れなかったとか言っていたけど、あの時、なかなか俺に気づかなかったよな」
「えっ、それは……」
何となく尋ねたのだが、ユウはしどろもどろになって、なかなか答えない。
「……あの時は、戦闘で興奮状態だったってのもあるけど、オレが想像していた以上にヨウくんがかっこよくなっていたから……。ほら、俺の記憶の中のヨウくんって小学生の時で止まっているから」
「――はっ⁉ な、なんだよ、それ」
恥ずかしさから逃れるための話題だったのに、全く意味がなかった。
「本当だよ。容姿もだけど、どんなに傷ついても戦意を失わない姿は、本当にかっこいいって思った」
一変し、ユウは臆面なく言いのける。
耐えられなくなった俺は、話題を逸らそうと画策する。
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