別れ

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   ◇ ◇ ◇ 『ジーン。大丈夫か?』  救助に来た同じチームの男が、駆け寄り声をかけてくる。その声に、オレは『ああ』と、短く返す。 『争っていたみたいだから撃ったけど、お前には当たっていないよな。……しかし、お前、なんで上半身裸なんだ』 『どうでもいいだろ』  そう、愛想なく答えるも、血と硝煙の臭い混じり漂う濃い雄の臭いに何やら察したようだ。スンスンと鼻を鳴らした後、地面に横たわるヨウくんの遺体を一瞥して、ニヤニヤと下卑た笑みで突っ掛かってきた。 『何だよ。地球人とお楽しみだったのかよ。でも、こんな場所でヤるなんて物好きだな』 『ほっとけ』 『何だよ。あっ、もしかして、こいつペットにするつもりだったのか。だったら、悪いことしたな』 『煩い。少し黙れ』  怒りを露呈すると、ヤツはようやく黙った。そして、『何だよ、助けに来てやったのに』とかブツブツ言いながら、離れていった。  足元に散らばるヨウくんの服や装備を拾いながら、ヨウくんの側に歩み寄った。  地面には鮮血が広がっている。オレはその場に膝を折り、ヨウくんの姿を見つめた。  全身に無数の銃創。流れる血液に勢いはなくなり、肉体の死を告げている  虚ろに宙を見つめる瞳にも、もう光はない。もう、オレを見てくれることはない……。 「…………ヨウくん……」  ヨウくんの瞼を下ろした際に感じた温もり。  まだ温かい。温かいのに、それはヨウくんを抱いた時に感じた熱いほどの熱とは違う。……灯の消えた残り香のような悲しい温もり。目の前の現実を悲観し、オレは項垂れた。
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