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小隊の仲間によって救助された俺は、拠点に帰還するなり医療班のもとに運ばれた。
「派手にやられたな、陽介(ようすけ)」
部屋の奥から出てきた白衣の男は、血まみれの俺の姿を見ても平然とした様子だ。慌てて治療を始める素振りも見せず、軽い口振りで話しかけながらベッドの傍らにある椅子に腰を下ろした。
「ああ……。でも、洸希(こうき)たちのおかげで助かった」
「洸希か。アイツは時々無謀な行動をするが判断は間違っていないからな。今回もそれで助かったんだろ」
「はい。洸希がリーダーで助かってます」
「お前ら、ガキの頃からずっと一緒だもんなぁ。その頃からリーダーだったよな、洸希は。……正直、羨ましいよ。このご時世で幼なじみが全員残っているのはな……」
「……そうですね」
六人一組の小隊のメンバー。俺の所属する隊は、全員幼なじみ。ガキの頃から同じ時間を過ごし、同じものを見てきたかけがえのない仲間だ。そんな仲間だからこそ命を預けられるし、仲間の命も見捨てられない。
「…………幼なじみ……」
ぽつりと呟いた言葉に導かれるように、小隊メンバーの子供時代の姿が思い出される。その中に、今はいないもう一人の仲間の姿も浮かび上がる。
「――――っ! いってぇっ!」
懐かしい記憶に浸りかけていたところに、突然の激痛。思考は遮断され、意識が痛みの原因に持っていかれる。
「……っう……。せ、先生……いきなりはキツイよ……」
「おや、すまない。けど、一応声はかけたんだけどね」
そう言いながら、先生はケミカルなグリーンの液体が入った太い注射を肩の傷に突き刺した。
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