別れ

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「…………ゴメンね」  誰にも聞いてもらえない謝罪。  横たわるヨウくんの身体に上着を被せ、もう一度謝罪を口にする。 「ヨウくん。洸希くんたちが迎えに来てくれるから、少しだけ待っていてね……」  ヨウくんの死を知った洸希くんたちは、絶対にここに来る。ヨウくんを連れ帰るために。そして、オレを殺すために……。  この場にオレ一人なら、殺されても良いと考えていた。けど、今はチームメンバーが側にいる。彼らを巻き添えにすることはできない。オレたちは少しでも早く、こに場から去るべきだ。  オレは最後にと、お別れのキスをする。  血で濡れた真っ赤なヨウくんの唇は、冷たくなりはじめていた。 「……さよなら、ヨウくん」  その場を離れようと立ち上がった時だ、視界に鈍い光を放つ物が映った。それは、地面に転がるライトの光に当てられたヨウくんのブレスレットだった。 「…………」  ヨウくんの死を伝えたのは、本当に善意だったのだろうか? 本当はヨウくんを渡したくない気持ちがあったのではないだろうか。  ……自分のことなのに、よく分からない。  ヨウくんの右手を持ち上げ、くすんだ青色のブレスレットを見つめる。  オレはヨウくんの手からブレスレットを取ると、そのまま自分の手首にはめた。  手首に重なる青色と黄色のブレスレット。 「……ヨウくん」  オレはヨウくんの血が残る唇でブレスレットに口づけをした。    【おわり】
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