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プロローグ
(こ、こいつは強い…)
荒れ果てた村にある豪邸の中で、レオは必死に戦う。相手は大柄な魔物だ。その大きな体は成人男性のそれを凌駕し、恐怖心を抱かせるには十分だった。
レオにとって、ここはただの村ではなかった。ここはかつてレオが育った村である。彼は大人になってからは、教会の神父として城下町で平穏に暮らしていた。だがしばらく経ったとき、この村が魔物によって滅ぼされた。その知らせを聞いたときは膝から崩れ落ちそうになった。そこから彼は訓練を積み、神父と兵士を兼任するようになった。魔物から人々を守るためである。彼はその責務に没頭していた。見方によっては、村が滅亡したショックから逃げようとしていたのかもしれない。
だが城を攻めようとしているという情報が入ったため、攻められる前に他の兵士と一緒に攻め込むことになった。かつて自分が住んでいた村への侵攻はとても抵抗があったが、そんなことを言っている余裕はなかった。
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