見えない物体

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 この『見えない物体』は、感触もわからなかった。  手を触れてみても、固さや柔らかさは感じない。さらに、熱さや冷たさも感じなかった。  では、なぜ存在していると分かるのか?  それは、触れようとすると、その箱ごと動くからだ。  箱に直接触れている訳ではないのに動く。ということは、『何かがそこに存在している』ということになる。  もっと言えば、この物体は匂いも味も無かった。無味無臭なのだ。でもそれは、ここに存在している。なぜなら、臭気計がわずかではあるが反応するからだ。
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