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「はい、白金さん。食事の用意ができましたよ」
「ああ。ありがとう。博士はどこかな?」
「博士? ああ。白川さんのことね。あちらのテーブルにいますよ」
女性が指差した方を見ると、確かに別のテーブルで食事をしているようだ。
「同じテーブルにしますか?」
「お願いします」
白金がそう言うと、女性は後ろに回って車椅子を押し始めた。
ここはとある高齢者施設。白塗りの壁が清潔感を感じさせる、近代的な作りの施設だ。
女性が白金の乗った車椅子を移動させると、それに気付いた白川が食事の手を止め振り向いた。
「おお、白金くん。よく来たな」
「博士、ご一緒してもいいですかな?」
「もちろんだ」
女性が運んでくれた食事を取りながら、白川は白金に話しかけた。
「博士、レポートの方は進んでいますかな?」
「そのことなんだが、万年筆のインクが切れてしまってね。今朝、スタッフに頼んだところなんだ」
「そうでしたか。では、また今夜落ち合いましょう」
「うむ」
そんな事を話ながら、二人は出された食事を平らげた。
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