お休み

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お休み

 夜が明けていく。端末を確認してモーニングコールをかける。  まだ眠そうな顔で、カメラを手に天鏡池に出かける方達を見送る。  そのうち怒涛のチェックアウトが始まり、日勤の引継ぎをして夜勤は終わった。  社宅に戻り、ヒールを脱いだ時には足がパンパンになっていた。  シャワーを浴びてベッドに倒れ込む。  もう、このまま海の底に、いや天鏡池の底に沈んで、深い眠りにつきたい。  何も考えず、光る(みどり)色の水面を見上げながら、ゆっくりたゆたうように……。  とは思ったものの、休みを無駄にしたくないタイプの私はしっかりアラームで目を覚ました。身支度をして、部屋を出る。  社宅は碧水館裏手の森の中。外に出ると太陽はすでに高く、空は澄んでいた。  車に乗り込み、紅葉(こうよう)のトンネルの中を通り抜けていく。  今日は仕事帰りの彼と待ち合わせ、そのまま泊まって、明日の休みも一緒に過ごす予定だった。近頃結婚式の打ち合わせが続いていて、「たまにはゆっくりしよう」という話になっていた。  ふもとの町で遅いランチを食べて、さらに車を走らせる。ショッピングモールに足を伸ばし、服や雑貨を見ると、スマホに彼からのメッセージが届いた。 「ごめん、今日のデート行けなくなった」
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