秋が来てしまった

3/6
前へ
/33ページ
次へ
「…きー。…つきー。嘉月ー。」 目が覚めると先輩が俺の頭を撫でていた。 「っは!はいっ。先輩っ!」 「かわいい、寝ちゃったのー?」 「いや、あのっ。お酒飲んだらその。」 「ふふ。寝る?」 「はい。じゃなくって。えっ。あの。」 「んー?」 キスをされた。チュッて音がして。途端に血が上った。頭にも、そっちにも。なんか、尻の穴もキュってした。 「もう少し飲む?お酒。」 「は、はいっ。」 お酒、どころじゃ。 「寝る前は、ちゃんと歯磨かないとね。虫歯になっても知らんよ?」 「へ、はい。」 もう、やだ。武尊先輩は、なんで抱いてくれないの?ワンチャン欲しかったんじゃないの? もしかして、俺が抱いた方がいいとか?!わかった、どんとこいっ! 「先輩、先輩。」 「んー?」 俺の横に座った武尊先輩がビールを開けて飲み始めた。 この状況じゃ、いたせないっ! 「嘉月。チップスター、食べる?」 「食べま…す。」 先輩が、筒に貼り付いた蓋をとって中身を出した。パッケージを破いて、チップスターを1枚とって、俺の唇に当てる。 「あーん。」 口を開けざるを得ない。口を開けると舌に被せるように乗せられて塩味が強く感じる。 「美味いよね。」 「うん。」 「舌って思ってるより優秀よね。」 口の中で、歯に移動させて齧る。飲み込む頃唇にキスされて押し倒された。 顔が離れると、先輩がニヤリ笑う。 「俺のこと好き?嘉月。」 「うん。」 今更?知ってるじゃないか。俺は、武尊先輩が大好きなんだよ。抱かれたくて抱きたくてうずうずしてるの。 頭を抱えるように後頭部に手を回された。 「されるの初めてだよね?」 きたーっ!ついにきたーっ!! 季節は秋、井伊山嘉月(いいやま かつき)、20歳。ついに市川武尊(いちかわ たける)先輩(21)に抱かれる瞬間がきたー!! 「は、はいっ。」 「勝手に何か調べてたよね。」 「ま、その。失礼がないようにしなきゃって。」 「へー。準備したの?」 「バイトの前に…はい。あと、洗いました。」 先輩に頭を撫で撫でされた。 「良い子。歯磨いたらベッドいこ。」 先輩は、歯科医師を目指してるだけあって、歯にはこだわりがある。自身も虫歯には一度もなったことがないらしい。 2人で並んで歯を磨いた。磨いた後、口の中を見られて。 「歯並びいいのね、嘉月。ちゃんと磨けてるし最高。」 って、頭を撫でてくれた。俺も歯は大切にしてる。フロスもしてるし、月1で歯科医院に行って歯の健診とメンテをしてもらってる。 「じゃあさ、ベッド行くよ。」 手を握られて寝室に招かれた。この部屋に入るのは初めてだ。セミダブルのベッドの横には低い棚が置いてあって、先輩が引き出しを開けてコンドームとローションを出した。クローゼットから大きめのバスタオルを2枚出して羽毛布団を剥がしてそれを敷いた。 「嘉月、どれくらいしてないの?」 「えっ。えっと。」 前の彼女と別れて以来していない。それに、自慰行為も、夏にしたけど、秋になってからはしてない。先輩と付き合ってから、ずっと……してない。 「3週間くら…」 ベッドに組み敷かれた。 「…男に抱かれるって、嘉月にしたら、不思議なことかもよ。俺は、タチだからね。必然的に、嘉月は抱かれる方だよ。いい?」 「はい。それを夢見て……あっ。」 Tシャツを捲られて乳首に吸いつかれた。女の子にされなれてるけど、男だからか、気持ちよくなる方法を知っていると言うか。乳首がすぐに固くなって。 「反応いいのね、嘉月。」 「せんぱ、……俺も。」 「きょうは、初めてなんだから大人しくしてみたら?される側に専念しなよ。」 「…えっ。」 たちまち服を脱がされて、上裸になった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加