第1話

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あっけに取られて、立ち竦んでいると、後部座席のドアが開いた。 想像していた通りの人が降りてくる。でも、彼は黒スーツではなかった。 サングラスもしていないし、一見、一般人に見えている。 「一花、お疲れ様」 ニコニコしながら、近づいて来る。昔の爽やかイケメンだ。 「仁君、此処で何してるの?」 「迎えに来た。ご飯食べよう」 迎えに来たってどういう事? 「え、その為に来たの?」 「そうだよ」 黒崎さんも車から降りて来る。 「こんばんは。一花さん」 サングラスを外して、笑った。彼もまたスーツを着ていなかった。 「こ、こんばんは」 スーツを着ていなくても、なんか凄いオーラだ。 「何食べたい?」 って、私行くって言ってませんよね。 それになんで仁君は此処にいるの?疑問が沸き上がる。 「ね、仁君なんで此処にいるの?」 「なんでって、一花とご飯食べようと思ったから」 「そうじゃなくて、此処で偶然私を見つけたの?」 聞くのが怖かったけど、言ってしまった。 「え、そろそろ帰って来ると思って駅で待ってた。」 ていう事は、私の家を知ってるって事? 「まさか、私の家を知ってるの?」 「家も会社も知ってるけど」 仁君があっさり、言った。
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