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あっけに取られて、立ち竦んでいると、後部座席のドアが開いた。
想像していた通りの人が降りてくる。でも、彼は黒スーツではなかった。
サングラスもしていないし、一見、一般人に見えている。
「一花、お疲れ様」
ニコニコしながら、近づいて来る。昔の爽やかイケメンだ。
「仁君、此処で何してるの?」
「迎えに来た。ご飯食べよう」
迎えに来たってどういう事?
「え、その為に来たの?」
「そうだよ」
黒崎さんも車から降りて来る。
「こんばんは。一花さん」
サングラスを外して、笑った。彼もまたスーツを着ていなかった。
「こ、こんばんは」
スーツを着ていなくても、なんか凄いオーラだ。
「何食べたい?」
って、私行くって言ってませんよね。
それになんで仁君は此処にいるの?疑問が沸き上がる。
「ね、仁君なんで此処にいるの?」
「なんでって、一花とご飯食べようと思ったから」
「そうじゃなくて、此処で偶然私を見つけたの?」
聞くのが怖かったけど、言ってしまった。
「え、そろそろ帰って来ると思って駅で待ってた。」
ていう事は、私の家を知ってるって事?
「まさか、私の家を知ってるの?」
「家も会社も知ってるけど」
仁君があっさり、言った。
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