第1話

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3人で、高そうなお店の、高そうな部屋の、高そうなソファー、に座っていた。 「ウチの前で再会して、一花が戻って来たってわかったから、調べて貰った。」 仁君はまたまたあっさりと言った。まるでそれが当たり前の様に。 個人情報保護法っていうのは、そちらの世界では通用しないのかな?もう色々と規格外だ。 「今日は、本当にありがとうございました」 仁君ではなく、黒崎さんがそう言って、立ち上がって頭を下げた。 「そんな、私、大した事は………」 「まさかあそこで他の組の抗争に巻き込まれるとは思っていなくて、油断していました。一花さんが来てくれなかったら、仁が大ケガしていました。」 もう、組とか抗争とか、一般人には刺激的過ぎる言葉を使わないでください。 「そうなっていたら、俺の指がなくなっていました。一花さんに感謝しています。」 また凄い事、言いましたね。私この人達と話してると寿命が縮んでしまうのではないだろうか。 「黒崎、お前の所為じゃない。おれが油断してた。一花の姿を見つけて、もうそこしか見てなかった」 心なしか、仁君の顔が赤くなった気がする。 「まあ、それは仕方ないですけどね」 黒崎さんが納得する。 違うでしょ、そこはもっと気を付けろとか言って怒ってよ。 「一花、何食べる?」 仁君がメニューを差しだす。 お昼を食べていないから、お腹はすいている筈なのに、食欲がわかない。 この2人が前にいる所為だ。
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