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「西脇さん、お昼行きませんか?」
宮島さんが声をかけて来た。
「あ、今日はお弁当買って来たの。誘ってくれてありがとう」
「え~、そうなんですか。昨日一緒に食べられなかったから今日はって、皆楽しみにしてたんですよ」
「ごめんなさい。また今度行きましょう」
もう私は外食はしない予定だけど。
「じゃあ、行って来ますね」
宮島さんが、折原さん達の方へ戻って行った。
「西脇さん、お弁当買って来たそうです」
「そうなのか。じゃあ俺もコンビニで買ってこよう。
田所と宮島さんで行って来て」
そう言う折原さんの声が聞こえて来て、折原さんが1人でオフィスから出て行った。
え、なんでよ。3人で行って下さいよ。
あ~、なんかややこしい事になりそう。私は急いでお弁当を食べ始めた。
なんだか、あんまり味がわからない。
「西脇さん。一緒にいいかな?」
背後で声がした。嫌な予感が当たった。振り向くとそこには折原さんが立っていた。
彼が私の隣に座る。いいって言ってないけど。でも断る事も出来ない。
「あ、はい。どうぞ」
もうそう言うしかない。
「なんで今日はお弁当なの?」
折原さんが、おにぎりのフィルムを開けながら聞いて来る。
「朝、時間があったので」
「ふ~ん。外に行くとまた誰かに会っちゃうから?」
「え、そ、それどういう意味ですか?」
マズい、動揺が隠せない。なんで折原さんはこんな事を言うんだろう。
「まぁ、いいか」
折原さんが、ペットボトルのお茶を飲む。
その背後に、何人かの女子社員の冷た~い視線が並んでいた。
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