135人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「黒崎さん、その腕、どうしたんですか」
私はびっくりして、そこそこ大きな声を出した。
黒崎さんが、自分の腕を後ろに隠した。
何かあったんだ。仁君が一緒にいないのはなんで?まさか…
「一花さん」
イケメンだけど、いつもは怖~い黒崎さんの顔が、一瞬泣きそうに見えた。
「仁君に何かあったんですか」
私は黒崎さんの表情に慌てていた。嫌な予感がする。
黒崎さんが怪我をしているなら、仁君にも絶対に何かあった筈だから。
黒崎さんは、話す事を躊躇っている様だった。
「黒崎さん!」
私はさっきよりもっと大きな声を出していた。
「仁が、大怪我をしました。」
そう言って、項垂れた。大怪我って、何。でも怪我なんだよね。単なる怪我。
「今、家にいるんですか?仁君に逢わせて下さい」
玄関先の声を聞きつけてか、中から黒いスーツの強面の大男が何人か出て来た。
「おい、この家の前で何を騒いでる?」
大男の1人が私に凄んだ。
「煩い!」
私はつい、そう叫んでしまった。大男がびっくりして、後退りした。
「おい、止めろ。」
黒崎さんが大男を制した。
「す、すみません」
大男がかなり小さくなった。
「今病院にいます。お時間があれば一緒に来て貰えますか」
仁君に、私には言わない様にと言われていたのかもしれない。
周りの人達がざわついていた。
「行きます。絶対行きます」
黒崎さんが後部座席のドアを開けた。
最初のコメントを投稿しよう!