第2話

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後部座席に乗り込んだ。車が走り出す。 「仁君に何があったんですか?」 「怪我って、どの位なんですか?黒崎さんの腕位ですか?」 「なんで知らせてくれないんですか?」 矢継ぎ早に質問している自分に、あれだけ仁君を避けようとしていたのにと自問自答する。 なんでこんなにムキになってるんだろう。 なんでこんなに心臓が張り裂けそうな位痛いんだろう。 「一花さん、ちょ、ちょっと待って下さい」 私の質問に、黒崎さんが待ったをかけた。 「あ、ごめんなさい。心配過ぎて、つい。」 少し落ち着こう。深呼吸をする。 「仁から、一花さんには絶対に言わない様にと釘を刺されまして、申し訳ありませんでした」 助手席に乗った黒崎さんが、前の座席から頭を下げる。 そしてそのまま項垂れた。 「え、仁君の状態、そんなに悪いんですか?」 黒崎さんの項垂れ方が普通ではなく、変な想像をしていた。まさかもう………。 「あ、あの……」 黒崎さんの言葉がはっきりしない。 仁君がどんな状態なのか、全く把握出来なくて、不安ばかりが募る。 「まさか、死んじゃったとか?」 思わず言葉に出してしまって、慌てて口を押える。 「あ、違います、違います。絶対に言うなと言われていたのに、今、一花さんを連れて行ったら、俺、どうなるのか………」 黒崎さんが項垂れている理由はそれか。この2人に凄く信頼関係があるのは 分かるけど、立場は仁君の方がかなり上みたいだ。 「大丈夫ですよ。仁君には私が無理に聞いたって言いますから。それで納得しないなら絶交します」 私の発言に、黒崎さんが胸を撫でおろしていた。 「姉さん、宜しくお願いします。」 運転していた彼がホッとしたように、そう言った。 「え、姉さんって……」 「着きました」 私の言葉を遮って、彼がそう言って車が止まった。 「病院?」 私は思わず呟いた。 そこは病院というにはあまりにも普通の家だった。
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