18人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
私のヒーロー
「おばさん、こんばんはぁ。昌大いますか?」
高校2年生になった私達。
隣の家の昌大とは別々の高校へ進学することになったけど、こうして時々遊びに来ている。
とは言っても昔のように公園で遊ぶわけでもなく、手作りお菓子や頂き物のお裾分けとか何かと理由をつけてお邪魔してはただお喋りしていくだけで。
「来海ちゃん、ごめんなさい。今日も昌大どこかに行ったみたいで……」
そうなのだ。
高校生になってから昌大は、時々夜の1~2時間どこかに出かけてしまう。
雨の日は出かけないのでランニングでもしているのかと思えばそうでもないらしく、誰か女の子とデートをしているのかとも心配しても、出かける服はジャージの上下で洒落っ気もないのでそうでもないらしい。
昌大本人に聞いてみてもはぐらかされ、おばさんも私もずっとモヤモヤしているのだ。
「そういえば、この間の昌大のバスケの試合のビデオがあるの。来海ちゃん観ていく?」
「あ!初レギュラーの試合ですか!?観ます!観ます!」
昌大と付き合っているわけじゃない。
でも一緒にいて当たり前の存在。
だからこそ、今この時間に何をやっているかなんて無理やり聞き出すことが出来ない。
この関係を壊したくない…、壊れてしまう事が怖い。
最初のコメントを投稿しよう!