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凍てつくアイシクル
幸せは形のないもの
だけど代わりに温度がある
あなたと手をつなげば
そこにはぬくもりがあって
そのときは
確かに幸せを感じるの
でも心が孤独を知るほどに
手をつなぐ気持ちが削がれて
並んで歩いていても
つかず離れずの距離になり
確かに感じられる手の温度を
忘れ物のようにしてしまう
それが積み重なると
手をつないで
温度を感じることを躊躇い始め
躊躇いは寂しさを生み
寂しさは恐怖へと変質し
恐怖はやがて心を蝕む
悪循環の始まりは
あなたが私のためについた
一つの嘘だった
知っているよ
あなたも苦しかったこと
でも私はそれで
あなたに誠を見つけられなくなり
誠なき温度が信じられなくなった
手をつなげば
そこに温度はあるけれど
不信な温度は
凍てつくアイシクル
まるで矢のように
私に刺さり続けるつららが
あなたの嘘の答え
あなたの不実の成果
だけど
もっともっと今以上に
苦しむのは明白なのに
あなたとの愛を見限れない私は
たぶん
世界一の愚か者
信じられないあなたのことを
どうしてこんなに好きなのか
苦しむだけなのに
心が納得しないから
どんどん自分が
かけ離れたものになっていく
どんどん自分が
虚無の世界に落ちていく
私が本気で笑ったのって
いつだったっけ⋯?
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