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「わたしにだって言い分はあるよ」
「言い分?」
「たった一か月で仕事覚えろっていうほうが無理だと思わない?」
「企業によるのかもしんないけど、派遣社員って即戦力を求められてるもんじゃないの?」
「……うん。だとしても慣れない環境で業務をこなすって大変なんだよ。専門用語とかソフトとか、どれも初めて見聞きするものばっかりで。教え方も早口でメモを取る暇もないし。てかメモを取らせろ! そしてマニュアルよこせ!」
もはや愚痴になっている。
一方、来栖くんは無反応で食事をしていて、やっぱりエリートには底辺の気持ちなんてわかりっこないんだなと、わたしもそれ以上言うのはやめた。
食事のあとはそこで解散となった。別れ際に連絡先の交換をし、「一週間後、開けといて。連絡する」と来栖くんが言った。
本当に食事だけだった。あれだけ緊張していたのに、過ぎてみるとあっという間だった。
あまりにもあっけなくて逆に不安になる。わたしはちゃんと務めを果たせたのだろうか。来栖くんは楽しめたのかな。
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