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「五十万……」
バッグのなかに封筒に入った現金がある。さっき来栖くんにもらったものだ。
そういった約束とはいえ、なんだろう、この罪悪感みたいなものは。
やっぱり大人の関係はナシというのは撤回すべきなのかなあと思わなくもないけれど、それ以上にそんな勇気はやっぱり持てない。
ならせめて楽しいデートにしたいな。来栖くん、ぜんぜん笑っていなかった。次こそ笑って過ごせるように努力しよう。わたしなりに反省し、そんな目標を掲げてみる。
だけど、わたしはトークがうまいわけではない。おまけに仕事も恋愛も失敗続き。そんなわたしに誰かを楽しませることなんてできるのだろうか。
「いや、無理だな」
わたしは五十万円の重さをひしひしと感じながら、いまさらながら後悔の念を感じていた。
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