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   いやいやいやいや、パパ活なんてあり得ない! 三十だし。そういうキャラじゃないし。  最初はそう思って即効で断った。でも自宅に帰り、考えが変わった。そんな流暢なことを言っている場合ではなくなったのだ。  それにパパ活ってマイルドなイメージがあるから、わたしにもなんとか務まるかなと思って。  それで翌日、さっそく瑠璃さんに連絡を入れ、前夜に引き続き、再びショットバーにやって来た。 「冷蔵庫と洗濯機が同時に壊れました」 「それで?」 「お金が必要です。やっぱりお仕事を紹介してください! ただし、大人の関係ナシで!」 ***  そんなやり取りをしたのが一週間前のこと。  あのときのわたしはヤケクソだった。だって『生活費=命にかかわること』だから。まさに背に腹はかえられないのだ。  そしていま。わたしはパパ活の相手を待っていた。待ち合わせ場所は高級ホテルのラウンジ。  少しでも気に入られるよう気合を入れた。男ウケ間違いなしのアイボリーのワンピースにナチュラルメイク。ネイルはピンクベージュの上品な色合いを選んだ。夕べ念入りにトリートメントしておいた髪はやわらかい印象になるようにコテでふんわりと巻いてみた。  鏡の前で自分の姿を確認するといつもの自分とかけはなれていて、少し恥ずかしい気持ちになったけれど、玄関で久しぶりにパンプスに足を入れたら、きゅっと気持ちが引きしまった。
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