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「聞いてる? もしかして人違い?」 「いいえ、わたしが喜多見です。喜多見さくらです」 「なら早くそう言えよ。あ、俺は来栖(くるす)」  なんでパパ活なのに、おじ様ではないんですか? どうして──。 「失礼ですが、おいくつですか?」 「二十五」 「に、にじゅう……ご……」  瑠璃さんはなにを考えているんだう。 五歳も年下じゃない! 相手の男性が年下でもパパ活になるの?  だけどこの状況。どちらかというと、わたしがお金を払わないといけないような感じなんだけど……。 「あの、来栖……くん。とりあえず座って」 「俺も飲み物頼もうかな」  来栖くんが向かい側に座り、自分でアイスコーヒーを頼む。  さっきよりも距離が近くなって、来栖くんの顔をまじまじと見た。  やっぱり若いなあ。皺ひとつないきれいな肌。恵まれた容姿でうらやましい。 「あの、確認なんだけど、一か月で五十万を支払ってくれるんだよね?」 「ああ」  返事を聞いて、とりあえずほっと胸を撫でおろした。  瑠璃さんからお金の話を聞いたとき、これぞ”本当にやばい仕事”に違いないと思い、自分から頼んだにもかかわらず、秒で断った。でも大人の関係はナシという条件を相手が飲んでくれるというし、なによりいまは無職でなによりお金がほしい。  五十万円という大金を払ってくれるというのに、食事や映画といった普通のデートだけでいいのかなといまも不安は消えないけれど、だからといって、わたしの身体に五十万円の価値はないわけで……。
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