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わたしがオレンジジュースを飲み終えると、さっそくデートが開始される。
まずはディナー。ホテルのラウンジを出て、同じホテル内にあるフランス料理のレストランで食事をした。来栖くんが予約を入れてくれていたお店で、そこで高級料理に舌鼓を打つ。
最初、なにを話せばいいのかわからなかった。だけど来栖くんは意外にもおしゃべりだった。といっても、会話のほとんどはわたしへの質問だったけれど。
家族構成、趣味、嫌いな食べ物、住んでいる家のことなど、ありきたりなことからはじまって、わたしの仕事の話へとシフトした。
「なんで派遣切りされたんだよ?」
「今回のは相手の会社の都合でしょうがなかったんだけど。ほかは、能力不足とか即戦力にならないとかなんとか……。派遣会社の担当の人がそう言ってた。ほんとしんどいよ」
「能力不足、即戦力にならないって。自分が悪いんじゃん」
「そ、それは……そうかもしれないけど」
普通、人の傷をえぐるようなこと言う? 同情してもらいたいわけじゃないけど、もっと言い方があるよね?
派遣会社の担当者から派遣切りのことを告げられたとき、どれだけ傷ついたか。自分がいらない人間だと言われ、やる気も食欲も失せて、浮上するのが大変だったんだから。
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