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「僕は、この人の手を取ります」
「?」
「ふふ、すみません。パドラに、報告です」
十年前、パドラの手を取ったことは間違いだったとは思わない。
きっと色んな糸と糸が絡み合い、交差し、人生が織り上がっていくのだろう。
パドラの糸は途絶えてしまったけれど、今そこに、新たな糸が継がれようとしている。
それは、芯があって、真っ直ぐで、優しいけれど抜群に強い、とびきりの糸だ。
決して解けることがないように、ずっとずっと側にいよう。
愛おしいこの人と、合わさり、ひとつになりながら。
〈了〉
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